村田沙耶香『コンビニ人間』-感想とオススメポイント

以前から読みたいと思っていた、村田沙耶香さんの『コンビニ人間』を読了しました。この本が、僕の平成最後の一冊になったと思うと感慨深いですね。

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第155回芥川賞に選ばれたことで有名ですが、少し前に文庫化されたことを聞きつけて、ウキウキで買ってきて今読み終わった、という次第です。

 

では、早速本題へ。

 

オススメポイント

  • 全160ページ程度とかなり短めの小説で、普段あまり本を読まない人や、時間が限られている人にも勧めやすい。
  • 芥川賞の中では、比較的面白い部類の作品で読みやすい。
  • 自分が人と少し違っていると思う、またはそう言われることがある人、には特にオススメ。

感想

僕は、恥ずかしながら「芥川賞」というものに少なからず抵抗があって、今までその部類の本をあまり読んできませんでした。なので、この『コンビニ人間』が初体験になったわけですが、この本はなかなかに共感できる部分も多く面白かったです。

 

 この本の取っ付きやすさに関しては、オススメのところにも書いた通り、芥川賞受賞作の中では面白い部類の作品であり、選考員の評価の中に「芥川賞候補作を読んで笑ったのは初めてだ」というものがあるくらいなので、少なくとも退屈することはないと思います。

 

内容を簡単に書くと、コンビニバイト歴18年の風変わりな女性、古倉恵子を中心にして「普通」とは何か?を考えさせられる、そんな作品です。

 

この古倉さんがなかなかの曲者、というか変人やサイコパスと言ってもいいレベルの人なんですけど、そんな彼女のことをどれだけ受け入れられるか?というのがこの作品の評価に繋がると思います。例えば、物語の序盤の序盤に"焼き鳥"のシーンがあるんですけど、その場面に対してどういう感情を抱くのか、で印象がだいぶ変わってくるはずです。ここで嫌な感情が大半を占めてしまった人は、もしかしたら読まない方がいいかもしれませんね。

 

まあとにかく、僕はこの人に少なからず共感できる部分がありました。ここまでではないにしても、自分は少し他の人と違うのかもしれないと思うことは今までの人生で何度もあって、それはもちろん他の人より秀でているというものではなく、どちらかと言えば劣等感疎外感を感じるものです。

 

この本のテーマでもある、「普通」に生きるということ。この「普通」というのが、とても難しい。子供の頃は、他の人が当たり前に出来ることが、なぜ君には出来ないのかと周りから言われました。そうした悩みは、自分自身が年齢を重ねるうちに解消されたり、そもそもそのように言われること自体が減っていくことで解決されたりします。しかし、大人になったらなったで、また別の「普通」の難しさに直面することになります。

 

僕はいつも、普通が一番だ、多くは望まないから普通の人生を歩みたいと、そう思っていました。しかし、残念ながらそう上手くはいきませんでした。これは僕だけの話じゃなくて、きっと多くの人がそう感じているだろうと思います。「普通」ってなんて難しいことなんだろう、と。

 

この小説の場合は、それが分かりやすく極端な例で話されています。誰の目から見ても普通ではない女性、古倉恵子。そんな彼女が、必要を迫られた時にどのような選択をするのか…。

 

 

僕自身の意見を言うと、全てを受け入れて気楽に生きるのが一番良いと思っています。少しくらい人と違ってもいい。だいぶ違ったとしても、それもまた良いことじゃないか。

 

「普通」ではないかもしれない。けれど、他の人とは違う「特別」な自分。そんな自分を、愛してみてはいかがでしょうか。